センター現代文の裏構造1~評論の隠された基準
2008年12月29日 (月)
今回は、センター評論において、複数の選択肢が残されて、どの選択肢も完全に正しいわけでも完全に誤っているわけでもないために選べない、という状況で、いかなる基準に基づいて選択肢を選べばよいかを書きたいと思います。
センター側が決めた基準は、経験上以下のようになっていると考えられます。
「本文と矛盾・無関係」>「全体の流れ」>「設問内容」>「個別の記述」>「国文法」
不等号の大きい方が、センター側が「より大きな間違い」と認定しているものです。たとえば、「全体の流れに合わない選択肢」と「設問内容に答えていない選択肢」があった場合、「全体の流れに合わない選択肢」の方がより大きな間違いがあるので誤選択肢となり、「設問内容に答えていない選択肢」の方が正答として選ばれます。
本文とまったく関係ない事柄を勝手に付け足す。明らかに本文と矛盾することを書く。
2「全体の流れ」
選択肢の大枠の方向性が、本文の大枠の方向性と一致しているか。選択肢が必要な要素を含んでいるか。
ポイントとして
・本文に書かれていない因果関係を書いている
・本文に書かれていない対比を書いている
・本文の因果関係を逆にしている
・本文で事実しか書かれていないのに、それを主張にしている
3「設問内容」
選択肢に書かれている内容は本文と合致するが、設問に答えていない。
細かいところばかり見ていると、こういう視点を見落とすので注意。
4「個別の記述」
本文に書かれていない事柄が、選択肢に書かれている。ただし、それ自体は本文の大枠の流れに影響を与えない(矛盾したり明確に関係なかったりしない)もの。
ポイントとして
・「すべて」や「のみ」を付け足す
・自然な発想のことばを補う
・本文の内容を、少し焦点がずれたことばで言い換える
5「国文法」
選択肢内で逆接を使っているのに、前後の内容が逆になっていない、など。
重要なのは、2が4より優先されているということです。
例えば、2002年大問1問6では、選択肢3と選択肢4のどちらを選ぶか決めるのに、この基準が用いられます。
選択肢3では、選択肢の後半部分「~対話的にかかわりあっている」が、前半部分「~錯覚を覚える」の理由であると書かれています。しかし、前半部分も後半部分も本文に書かれていますが、この二つが因果関係であることは書かれていません。
選択肢4は「「ことばの宇宙」で多くの人と出会い」と書かれています。しかし、これは本文中に書かれていません。
また、どちらも本文と矛盾しあうわけではないので、このままだとどちらの選択肢を選ぶべきか決めることができません。
そのため、先の基準を用います。選択肢3は「全体の流れに合わない選択肢」、選択肢4は「本文に書かれていない事柄が書かれている選択肢」なので、選択肢3の方がより大きな間違いとなり、選択肢4が正答となります。
また、4の位置づけがあまり高くないということは、単に本文に書かれていないというだけでその選択肢をただちに誤りだとしてはいけないということでもあります。本文に書かれていないけれども、本文の流れと整合している場合は、いったんその選択肢は保留して他の選択肢を見て、他の選択肢が明らかに間違っている場合には、その選択肢を選ぶ必要があります。
たとえば2001年大問1問6の選択肢3には「完成しない自己の像を完成させようとする」と書かれています。これは本文に書かれていない事柄ですが(「完成させようとする」のと、「執着」「保存」は意味が違います)、他の選択肢が正しくないので、これが正答に選ばれます。
また、3が4より優先されているのにも注意が必要です。このことは、問題文とは独立に、設問と選択肢だけ読んで、その対照関係だけで解こうとする解法はうまくいかない場合もあるということです。
例えば、2007年大問1問3は「「一期の出会い」を踏まえた上で」という指示がわざわざ与えられています。ということは、「一期の出会い」という流れに沿っていない選択肢はまず排除していいだろう、と考えてしまいたいところです。そしてそのようにすると、選択肢3の「刹那性」のみが残り、他の選択肢は問題分の指示から外れてしまうので誤り、という結論になります。これで解けていたらなかなかカッコいい解法です。
しかし、本文の内容に合致した選択肢は選択肢4です。そして、センターが選択肢3と4のどちらを正解にしているかというと、選択肢4の方です。
つまり、「本文の方向と合致するが設問の指示に従っていないもの」と「設問の指示に従っているが本文の方向と合致しないもの」では前者が正解になるということです。
「選択肢が複数残ってしまったが、どっちにすればいいかわからない」場合の多くで、どちらを選ぶかの指標として、この「隠された基準」は有効に使うことができるでしょう。
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センター現文を解いてる時に「正誤の優先順位」があるのはなんとなく感じていましたが、(無意識的に使ってた気もしますが)それを論理的に説明されて「そうだったのか」と納得しました。
僕の場合は4を正答だとして引っかかる場合がたまにあるのですが、意外にも優先順位が低いんですね。
こういう正誤の基準の存在を考えると、センターの設問「最も適当な答えを選べ」はあまりにも雑に感じます。
投稿: 小惑星 | 2009年1月 5日 (月) 18時42分
>小惑星さん
コメントありがとうございます。
ただこの優先順位はあくまでも経験則なので、例外は発生してしまうかもしれません。それでも出題者の感覚としては「こういう選択肢の方がより適当な選択肢だろう」みたいなものはあると僕は考えます。
センター側の粗雑さは僕も感じてました。解答は公開されても、その解答の論拠は公開されませんし。
投稿: θ | 2009年1月 5日 (月) 19時28分