今回は、出題者の心理を考えたいと思います。

出題者はどうやって選択肢を作るでしょうか。
まず本文を読んで正しい選択肢を作ります。あまりにも本文そのままだと誰も間違えてくれないので、多少はわかりにくくするでしょう。
次に誤答の選択肢を作らねばなりません。誤答の選択肢にはどのようなものがあるでしょうか。典型的には以下のようになるでしょう。

A 本文に書かれていない(多くの場合もっともらしい)ことを書く
B 本文と逆のことを書く
C 本文より強い言い切り方にする
D 本文の違うことについての説明を関係ない所に用いる


隠された基準」では、AとCが4「個別の記述」、Bが2「大枠の流れ」になります。
さて問題はDです。「本文の違うことについての説明を関係ない所に用いる」というのは、たとえば、本文ではPさんが「やさしい人」と書かれているのに、選択肢では「Qさんはやさしい人だ」と書いているようなもののことです。Dについては、間違い方のレベルとしては4「個別の記述」のレベルのはずなのに、しばしば2「大枠の流れ」のレベルの扱いを受けることがあります。

どういうことかこれだけではわからないでしょうから、具体的な問題で見てみましょう。

2001年大問2問4
選択肢3には「娘がそれ(2人暮らしは不安の中に心を弾ませるものがあり、水遊びがその象徴であること)を直感的に受け止め」とありますが、これは本文中に書かれていない事柄です。一方、選択肢2では、海を「子供のため」残したいと書かれていますが、これもまた本文に書かれていないことです。
さらに、隠された基準を用いても、どちらの選択肢も4「個別の記述」のレベルの間違いであるため、どちらかに絞ることができません。
しかし本文には海を「自分のために」残したいという記述ならばあります。「自分のために」と「子供のために」は矛盾しあうものではなく、十分両立しうるものです。しかし出題者心理としては「子供のために」は本文に「矛盾したもの」と映るのです。したがって、選択肢2は間違いのレベルが4「個別の記述」ではなく2「大枠の流れ」になり、選択肢2の方が、間違いのレベルがより高いことになります。


このようにセンターでは、排中律ではないのに排中律であるかのごとく取り扱われることがしばしばあります。これは、出題者が「本文の別の場所の記述」を用いた場合は、「何も関係ない記述」を用いた場合に比べて、より本文との矛盾の度合いが大きいと思うからでしょう。
選択肢がどうしても複数残ってしまった場合には、最後の手段として出題者の心理を読んで、どちらを誤答として作りそうかを考える必要があることもあるのです。

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