不完全競争と市場の失敗

2009年01月08日 (木)

こんにちは、θです。今回は、「市場の失敗」について見ていきたいと思います。

「市場の失敗」を見る前に、まず「完全競争」と「パレート効率的」の2つを見ておきましょう。

「完全競争市場」というのは、売る側も買う側も、値段があらかじめ決められた状態で、どれだけ製品を作るか、あるいはどれだけ製品を買うかを決めるような市場のことを言います。つまり、「私はこの値段で売ります・買います」というように、自分で好きに値段を決めることができないということです。
「完全競争市場」になるのは、市場に売り手も買い手も非常にたくさんいるような状況です。例として、ある商品の市場での値段が100円に決められているとしましょう。売り手が無限にいるので、もしある企業が市場の価格よりも少しでも高い値段(例えば101円)をつけてしまったら、それよりも安い100円で売っている企業がたくさんあるので、買い手は皆100円で売っている企業でその商品を買います。なので、市場で決められた価格の100円より高い値段では、その市場では売ることができません。

あれ、でも逆に100円より安い値段だったら売れるじゃないか」と思うかもしれません。確かに100円以下ならば商品は売れます。しかし、企業は100円より安い値段で売ると100円で売った時より損をしてしまうのです。
どういうことでしょうか。完全競争市場では買い手もたくさんいることを思い出してください。買い手がたくさんいるということは、商品は作れば必ず売れるということです。同じ量が売れることが保障されているのならば、出来る限り高い値段で売った方が企業は得ですね。だからどの企業も、売ることのできるギリギリの高さである市場価格の100円で売ろうとするのです。

というわけで、どの企業も100円でしか売ってくれないのですから、買い手も100円でしか買うことができません。こういう市場が完全競争市場です。
なお、完全競争ではない状況は、不完全競争と言います。

次に「パレート効率的(パレート最適とも言う)」を見ましょう。「パレート効率的」というのは、「誰も損をさせることなく誰かを得させることができないような状況」のことです。
自分が損をしないならば反対はしないものとすれば、誰も損をしないならば誰も反対しないはずです。そして誰も損をしないのに誰かが得できるとすれば、それはより望ましいはずですね。誰の反対も受けることなく、より望ましい状況が実現できます。このような「より望ましい状況」がもう存在しないような状況が「パレート効率的」な状況です。



では、やっと「市場の失敗」に移りましょう。「市場の失敗」というのは、「市場に任せておいてもパレート効率的にならないような状況」のことです。

市場の失敗は、以下のような場合に起こります。

まず、不完全競争の場合です。
不完全競争となるのは、たとえば独占や寡占が起きている場合です。この場合には、売り手が少ししかいないので、高い値段をつけても売ることが出来てしまいます。
また、価格などの情報がすべての売り手と買い手に完全に知れ渡っていない場合にも、完全競争になりません。たとえば、価格を正確に知らなければ、もっと安く買えるのに間違えて高い値段で売っている企業で商品を買ってしまうかもしれません。

次に、外部性がある場合です。外部性というのは、市場を通さずに売り手や買い手に損得を与えるような状況のことを言います。
一番わかりやすい例は公害です。たとえば工場が排水を川に垂れ流している場合、排水によって近隣住民には健康被害が出たり、浄水器を設置して余計な費用がかかったりします。しかし排水を流すことは市場を通して決まったものではありません。
また公共財も外部性の一つです。公共財は誰でも使うことが出来てしまうので、「その公共財を作る際にお金を出さなかった人には使わせない」ということができません。この場合は、お金を出さなかった人は市場を通さずに公共財を利用する、つまり利益を得ていますからこれも外部性です。

(ちなみに、市場が完全競争で外部性がないならばパレート効率的になります)


「市場の失敗」というのは、以上のような状況のためにパレート効率的でなくなることを言います。逆にいえば、パレート効率的な状況が実現できるのならば、それは望ましくないかもしれませんが、市場の失敗ではありません。
一番勘違いしやすいのは、「市場に任せておいたら格差がますます広がってしまった」というものです。これは社会問題ではありますが、「市場の失敗」ではありません。

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